私たちの日常に深く根付いている革製品は、あらゆる場で目にすることが可能です。これにはバッグ、財布、ベルト、手帳カバー、靴、手袋、帽子、自転車やオートバイのサドル、家具、人形、楽器、馬具といったものから、歴史を遡ると甲冑や盾といった武具にも及びます。
この広範な使用は、革の卓越した加工性と耐久性によって支えられています。革製品に触れることで感じる懐かしさや温もりは、単純な言葉では表現しきれないほどの深い感情を呼び起こします。この感覚は、革が長い歴史を通じて人類の生活に密接に関わってきた結果生まれる、言葉にできないほどの豊かな感情かもしれません。
革製品には、その用途や目的に応じた特定の製法や「レシピ」が存在します。これは、国や地域の文化が革の製造方法に大きく影響を与えるためで、世界中には多種多様な製法があることを意味します。これを理解するには、「ラーメン」を例にすると良いでしょう。ラーメンには、スープの種類や麺の太さに至るまで、地域や店ごとに異なる多くのレシピが存在します。
タンニン、クロム、油の種類といった異なる材料の組み合わせにより、厚手で頑丈な革から薄手で柔軟な革まで、さまざまな特性を持つ革が生み出されます。しかし、例えばベルト用に開発された革を衣服に使用すると、その革の持つ特性を十分に活かすことができなくなります。
このように多様なレシピが存在する中で、高品質な製品作りに対する強い美意識や哲学を持ち、それを実践するタンナーの革に出会ったとき、その感動は筆舌に尽くしがたいものがあります。しかし、残念ながら優れた革を生み出すタンナーは年々減少しているのが現実です。
理想的なデザインを実現できる革に出会うことは容易ではないかもしれませんが、創作意欲を刺激するような革に巡り合えたときの喜びは、深く心に刻まれ忘れられないものです。その革の特徴や魅力を最大限に引き出すデザインを思案する過程は、製作者にとって至福の時であり、その結果として生まれる製品は間違いなく卓越したものになると信じています。
私たちは、日本が世界に誇る卓越した製造技術を深く信頼しています。
日本人が時に忘れがちな「物を大事にする」という心を再び喚起するバッグ、世代を問わず魅力的だと称賛される財布、誇らしげに他人に披露したくなるような美しい靴。これらはすべて、職人の高い技術力がなければ生まれ得ない製品です。
世界各地から選び抜いた上質な革を、日本の精巧な技術で製品化し、そしてそれを世界に向けて発信していくこと。この製造プロセスの一翼を担えることに、私たちは大きな喜びを感じています。また、たとえ皆様が革という素材に特別な関心を持っていなくても、日常使いの革製品がそうした背景を持っていることを、少しでも思い巡らせていただける機会が提供できれば幸いです。