ドイツで唯一のカーフ専門の鞣し技術を持つタンナーです。
ペリンガー家は、17世紀から代々、革なめしの仕事に従事されています。記録に残っている一番古い記述は1864年。国によって鉄道が敷設され、その輸送力に注目した初代ジョセフ・ペリンガー氏が、Furth im Waid駅に近い場所に工場を構えたことをもって、創業とされています。
1858年にドイツ人技術者フリードリッヒ・クナップによってクロムなめしが発明され、1893年にはその製造方法がアメリカで特許を取得しました。
2代目であり、現オーナーの祖父にあたるアウグスト・ペリンガー氏はカナダに滞在中、アメリカで新しいクロムなめしの技術を学ぶことを決意しました。彼はその知識をドイツに持ち帰り、クロムなめしによる生産方式の工業化に成功しました。それによって、シカゴ万博(1893年)、アントワープ万博(1894年)でメダルを受賞したことが、現在まで続く同社の基礎となっています。
現社長ウルリッヒ氏は5代目で、6代目もすでに経営に携わっています。クロムなめしを行うタンナーは大量生産の方向に舵を切り、大資本に統合された例が多い中、160年にわたり、一族経営で、高品質な革づくりの志を現代まで継承されています。
彼らの生産する革の品質へのこだわりは徹底しており、原皮を採るための仔牛の生育環境はもちろん、何を食べて育ったのかまで追跡して、革づくりをしています。クロムなめしは、タンニン鞣しと比べて時間が短縮できて、30時間程度でなめすことができます。しかし、同社はウェットブルーの段階で8日間かけてエイジングして品質を安定させたり、100の工程を150時間かけて製造し、品質を追求しています。
ドイツの皮革産業は、産業革命以降の都市の発展のなか、悪臭や汚水の問題や、化学薬品の使用による公害の発生のために、市中から郊外へと移転を迫られたり、水質汚染防止の条例や使用する薬品の規制など、様々な社会の要請に対応してきました。SDGsが提唱されるはるか前から環境問題に適切に取り組み、伝統的な技術をもとに革新を重ねている会社だけが、現在までビジネスを続けています。
ペリンガー社も、多額の投資をして排水処理施設を完備し、薬品類もより環境負荷が少ないものへと常に試行錯誤を繰り返して、環境に配慮している優良企業です。同社の革は、世界のスーパーブランドに認められており、世界でも指折りの有名皮革です。
所在国 | ドイツ |
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設立 | 1864年 |
主ななめし方法 | クロム |
主な製品 | ドイツシュリンク、ノブレッサカーフ、スイフトカーフ、クリスペルカーフ |
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