こんにちは!
今回もまた、色についてのトピックをご紹介します。
サライ商事では、世界各国から革を輸入しています。それらの革の名前や色の名前は、基本的には、タンナーが名付けた名前をそのまま使っているので、イタリア産の革の名前は、イタリア語だったりします。
今回は、バダラッシィ・カルロ社(BADALASSI CARLO)のコッチネーラ、ナッパCBとプエブロにある赤系の色を取り上げます。
まず、コッチネーラ(Coccinella)を翻訳検索してみると、「てんとう虫」と出ます。てんとう虫色って? たしかに翅は赤いイメージがあるけれども…、とどうも釈然としません。
と、その前に、てんとう虫って、中学の英語では「Lady Bird」って習いませんでしたか? 日本で、てんとう虫といえば、結婚式の定番ソング、「てんとう虫のサンバ」がお馴染みです。見た目の可愛らしさも相まって、女性的な印象が強くあるからか、古い記憶がよみがえってきました。なので、イタリア語と英語でそんなに違う音になる? とふしぎに思ったら、なんとこれは
学名「Coccinellidae」から採られたのだそうです。
じゃあ、イタリア語で普通に言ったらどう言うのだろう、と調べたら、「神様の雌鶏(gallinella del Signore)」と言うそうです。たしかにこれだと、どうやっても色の名前としては付けづらそうですね。そして、これもまた、英語とだいぶ印象が違う言葉のように思えます。
しかし、実はそうではありませんでした。英語でいうてんとう虫の「Lady Bird」「Lady Bug」のLadyとは、単に女性という意味ではなくて、マリア様、キリストのお母さん、聖母マリアのことを表していて、てんとう虫は「マリア様の鳥(虫)」と言われているのだそうです。
そもそも日本語でいう「てんとう虫」の「てんとう」とは「お天道様」、つまり太陽のことです。太陽に向かって舞い上がるような飛び方をするてんとう虫の習性から、名付けられたのだそうです。
欧米でも、同じ飛び方の特徴から、神様のお使いであり、天国の席を予約しに行ってくれている存在なのだと言われています。「神様の雌鶏」も同じことで、キリスト教圏では、幸運の運び手ともいわれているそうです。
コッチネーラは、そんなてんとう虫をシンボルにもつ、いわば神聖な色です。
日本では、赤い財布は赤字につながる、なんていう向きもありますが、この神聖な赤(赤茶、えんじ)のお色で、大切なアイテムを仕立ててみるのもいいかもしれません。
エイジングしていくと、艶は増すのに色は深まって、落ち着いた風情のある色になります。